AIエージェントを構築する際、「とりあえずLLMにツールを渡して動かす」だけでは、複雑なタスクに対応できません。実用的なエージェントには適切な設計パターンの選択が不可欠です。本記事では、現場で実際に使われている5つの主要パターンを解説します。
パターン1:ReAct(Reasoning + Acting)
最も基本的なエージェントパターンです。LLMが「考える(Reason)→ 行動する(Act)→ 結果を観察する(Observe)」のサイクルを繰り返します。Google検索やAPI呼び出しなど、1ステップの判断が必要なタスクに最適です。
LangChainのcreate_react_agentやDifyのエージェントモードで簡単に実装できます。シンプルですが、タスクが複雑になると推論ループが長くなり、コストとレイテンシが増大する弱点があります。
パターン2:Plan-and-Execute
まず全体の計画を立て、その計画に沿ってステップを実行していくパターンです。「プランナー」と「実行者」の2つのLLM呼び出しに分離することで、各ステップの品質が向上します。
レポート作成、データ分析、調査タスクなど、複数ステップの作業に適しています。計画段階でユーザーに確認を挟むことで、方向性のズレを早期に防げるのも利点です。
パターン3:マルチエージェント協調
複数のエージェントが役割分担して1つのタスクを遂行するパターン。CrewAIが代表的なフレームワークです。「リサーチャー」「ライター」「エディター」のように専門エージェントを定義し、順番に、または並列にタスクを処理させます。
コンテンツ制作、コードレビュー、意思決定支援など、複数の視点が必要なタスクで威力を発揮します。ただし、エージェント間の通信コストが大きいため、シンプルなタスクには過剰設計になりがちです。
パターン4:ルーター型
入力内容に応じて、最適な処理パスに振り分けるパターンです。カスタマーサポートで「技術的な質問→テクニカルエージェント」「料金の質問→ビリングエージェント」「クレーム→エスカレーション」のように分岐させます。
Difyのワークフロー機能やn8nのSwitch/Routerノードで実装可能。実運用では最も多く採用されているパターンの1つです。
パターン5:Human-in-the-Loop
重要な判断ポイントで人間の承認を挟むパターン。AIが下書きを作成→人間がレビュー→AIが修正→人間が最終承認、というフローです。品質が重要な業務(契約書、対外メール、決裁文書など)で必須のパターンです。
完全自動化を目指すのではなく、AIと人間の強みを組み合わせる設計思想が、現時点での実運用におけるベストプラクティスです。
まとめ
AIエージェントの設計パターンは「銀の弾丸」ではなく、タスクの特性に応じて選択するものです。シンプルなタスクにはReAct、複雑な計画が必要ならPlan-and-Execute、複数視点が必要ならマルチエージェント。実務では、Human-in-the-Loopを組み合わせることで品質と効率のバランスを取れます。